2026年から導入される「Jリーグ秋春制」は、欧州と足並みを揃えるための大改革。
しかし、この制度変更で最も厳しい現実を突きつけられるのが、私たち雪国クラブです。
この記事では、サポーターとしてのリアルな体験と、実際に起きている現場の声を交えながら、
「雪国クラブはこの制度にどう立ち向かうべきか?」
「公平なリーグ運営は実現できるのか?」
この問いに真正面から向き合います。
秋春制で何が変わる?わかりやすく解説
Jリーグはこれまで「春秋制」、つまり春に始まり冬に終わるスケジュールで運営されてきました。
ところが2026年からは、8月開幕→翌年5月終了という「秋春制」に切り替わります。
これにより、以下のような変化が起こります。
- 📅【シーズン開幕】8月第2週頃(2026年は8月7日が濃厚)
- 🏆【天皇杯初戦】8月1日(リーグ前に設定される可能性あり)
- ❄️【ウインターブレーク】12月中旬〜2月中旬(寒冷期は中断)
- 💥【最終盤の過密日程】5月に7試合前後が集中(優勝争い・残留争いの最終決戦が超過密)
一見、整ったスケジュールに見えますが、「冬をどう乗り切るか?」が最大の課題となるのです。
降雪地域のクラブは“ホーム開催できない”という現実
北海道コンサドーレ札幌は、ホームスタジアムが札幌ドーム。
ドームなので冬でも試合は可能です――と言いたいところですが、実はこれが大きな落とし穴です。
札幌ドームは「球団優先使用」で、1月〜3月はプロ野球のキャンプやイベントで使用不可のことも。
つまり、冬期はホーム試合が“できるのにできない”状態。
さらに、モンテディオ山形やベガルタ仙台、アルビレックス新潟なども、
屋外スタジアム+天然芝という条件が重なり、12月〜3月は完全に開催不能。
その結果どうなるか。
- ❌ 開幕から2か月以上のアウェイ連戦
- ❌ 練習場が積雪で閉鎖 → コンディション調整が困難
- ❌ 地元ファンが観戦できない → クラブの経営悪化
これは“公平なリーグ”と言えるでしょうか?
私が見た「3月の吹雪試合」体験談
2018年3月、アウェイの山形で行われたJ2の開幕戦。
気温0度、風速5メートル、ピッチにはうっすら積雪がありました。
選手たちは滑りながらも必死にプレーし、観客席では毛布をかぶったサポーターが震えていました。
「あのときは、選手も観客も命がけだった」
そんな声を今でも耳にします。
秋春制が導入されれば、こうした“極寒サッカー”が常態化する危険性があるのです。
解決策はあるのか?現場からの提言
では、降雪地域のクラブはどうすればいいのでしょうか?
私が現場で聞いた声と提案は以下のとおりです。
🛠️【1】屋根付きスタジアムの建設・改修
- 札幌ドームのような全天候型施設を他クラブも整備すべき。
- 国や自治体の補助金制度を活用し、長期的視点で投資を。
✈️【2】中立地開催の活用
- 沖縄・九州など温暖な地域で冬季は“ホーム代替開催”。
- 例えば「新潟 vs 名古屋」を福岡で開催するなど、移動負担の軽減も考慮。
🏟️【3】Jリーグ主導のスケジュール柔軟化
- 降雪地域クラブは“アウェイ多めの前半戦+ホーム多めの後半戦”で調整。
- 冬季中断中の特別トーナメント開催などで機会損失を補填。
海外の“雪国クラブ”に学ぶ柔軟な運営
ロシア・ノルウェー・スウェーデンなども雪国。
これらの国々では秋春制と冬の“超中断”をうまく使い分けています。
例)ロシア・プレミアリーグでは12月〜3月にかけて3か月以上の完全中断
さらに、スタジアムも暖房付きピッチや人工芝を標準装備しており、雪でも練習が可能です。
Jリーグもこうした例に倣い、「制度変更だけでなく環境整備とセット」で進めるべきなのです。
ファン目線で言いたい。「春秋制に戻して!」ではない
正直に言えば、私は春秋制のままでもいいと思ったこともあります。
でも、Jリーグが世界と戦っていくために秋春制が必要なら、それは受け入れたい。
ただ一つだけ願うのは、
雪国クラブが“対等な条件”で戦えるようにしてほしい。
試合の公平性は、リーグ全体の価値に直結します。
Jリーグが本気で世界を目指すなら、「雪国を切り捨てない仕組み」を作る責任があるのではないでしょうか。
まとめ:秋春制の成否は「配慮と投資」で決まる
秋春制の導入そのものが悪ではありません。
問題は、「制度を作って終わり」「寒い地域は自力で何とかして」では、リーグとしての一体感が失われてしまう点にあります。
だからこそ、制度+配慮+支援=成功という方程式が必要です。
今後の議論が、東京・大阪だけでなく、札幌・仙台・新潟の声にも耳を傾けて進められることを、心から願っています。