2025年夏、ヴジャレアルからアトレティコに移籍金76億円＋ボーナス8億円という大型補強で加入した23歳MFアレックス・バエナ。
「自分のキャリアにおける大きな飛躍。欧州最高のクラブの一つに入団した」
—これは本人の言葉ですが、これほど刺さる一言もなかなかありません。
これほど期待を集めるその背景には、バエナの “左サイドからのゲームメイク” と “精度の高さ” があるのですが、今回の記事では、彼がアトレティコで本当に輝く起用法とは何なのか――その本質に迫ります。
なぜ今、バエナはアトレティコを選んだのか
バエナがプレミア・ラ・リーガで名を轟かせた理由は、ヴィジャレアルで「14アシスト」という形で結果を残したことにあります。
しかし、移籍の背景にはアトレティコ側の“左サイドの創造力”という課題もありました。
近年のアトレティコは左サイドでの仕掛けが少なく、 ブルーノ・ゲマイリやサウールなども中盤の中央寄りが多く、攻撃の多様性に欠けていたのです。
そこへ、クラブは“ヴィジャレアル流のクリエイティブな左MF”を持つバエナを獲得することで根本からの改善を狙いました。
驚異のパス精度
先日、DAZNで観戦したヴィジャレアル戦で、バエナはハーフスペースからの“ライン間のラストパス”を何度か出していました。
特に印象的だったのは、右サイド深めから戻ってきた状態でも、逆サイドへ鮮やかなスルーパスを通したシーン。
それは映像で見る以上に、試合の流れを一瞬で変える“空間把握”の精度です。
ピッチ中央でも、中央突破ではなくサイドからの浮動的な視点を持ち込み、試合に“アクセント”を加える様はまさに「ゲームプランナー」。
移籍金76億円の理由とは？アトレティコの補強戦略
76億円の移籍金は近年の中盤補強としては高額ですが、これにはちゃんとした根拠があります。
第一に、スペイン国内移籍の“地元色補償”や“交渉力”。
ヴィジャレアルサイドはクラブアカデミー出身ながらも、将来性と市場価値から約定が必須。
第二に、欧州最高レベルの中央突破の起点というニーズ。
シメオネ監督はインタビューで「厳しい要求が燃料になる」と語っており、実際に移籍金の金額以上に戦術フォーカスが高い点がクリアされています。
戦術から見る、バエナのベストポジション
4‑4‑2での左MF配置
左斜め前の“ライン間”に位置し、縦パスと横パスを使い分ける役割。
さらに、セットプレーでも存在感を発揮。
ヴィジャレアル時代のフリーキック成功率は約17％（リーグ内トップクラス）。
アトレティコでも間接→直接の流れで、攻撃に多様な選択肢をもたらせます。
3‑5‑2での左インサイドハーフ
システム変更時にも使える汎用性は◎。
中盤左チャンネルで、相手の守備網を引き伸ばしつつ、“キーパス起点”に回る役目が想定されます。
ヴィジャレアル時代に見せた“タックル後にパスを通す選手”という点で、守備意識と技術の両立も可能です。
アトレティコの4‑4‑2と3‑5‑2、どちらで活かせる？
シメオネ監督は勝利条件に合わせて2つのシステムを使い分けますが、その中でバエナは“大前提の攻撃力増強”として両システムで活用可能。
4‑4‑2では左を“司令塔”的に動きながらグリーズマンやスルロットに供給。
3‑5‑2では、相手の中盤底からのパスプレスの起点となり、バランスを取りながら最前線へ鋭いパスを供給できます。
グリーズマンとの共演で生まれる“新コンビネーション”
バエナが加入することで復活が期待されるのが“グリーズマンとの黄金コンビ”です。
現スペイン代表でも共存しており、バエナがボールを持つとグリーズマンが“インバート”して行く図式が生まれるでしょう。
視野の広さとパス精度を武器に、新たな連携パターンを作り上げられる可能性は十分にあります。
懸念される課題とフィットに必要な条件
守備の強度とヘルス面
シメオネ式の運動量・集中力・守備連動力を維持できるか。
ヴィジャレアルでも高い守備意識はありましたが、アトレティコではそれが“基準”ではなく“超過要求”になります。
スペイン代表のキャップ問題
今後、代表戦やチャンピオンズリーグと国内戦の兼ね合いで、“出場機会のバランス”も重要。
過去の成功例から読み解く“シメオネ式成長曲線”
振り返ればトーマス・レマルやヤニック・フェレイラ・カラスコもアトレティコ加入後に飛躍した。
特にレマルは「最初は控え、2年目で主力化」という成長パターンを描きました。
バエナも同様に、1年目から存在感を示しつつ、2年目から“真の主力”へとステップアップする未来は十分期待できます。
バエナに期待される未来とスペイン代表での飛躍
アトレティコで定着すれば、“スペインの中盤を代表するクリエイター”として名を馳せるでしょう。
既にバエナ本人も「スペイン代表のチームメートと一緒にプレーできる」と口にしており、今後はクラブと代表で一緒に成長していく存在になります。
まとめ｜左サイドの未来を託された新たな「司令塔」
バエナはアトレティコの “左サイドからゲームを変えるスイッチ” となることを期待されています。
これまでの移籍金以上の意味を持つ補強だと感じます。
4-4-2での左MF、3-5-2での左インサイドMF、どちらでも相応に機能できる汎用性とスキル。
今シーズン、バエナが左サイドでどれだけ“アクセントを創れるか”。
アトレティコがその攻撃の厚みを取り戻す“鍵”になることを、現地での視察と分析から確信しています。
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